今日は夜中付近のロンフィクくらいか
FXデイリー分析レポート [2025年09月29日]
月末ロンドンフィキシングへの注意喚起
今週は9月最終週となり、月末・四半期末に向けた「ロンドンフィキシング」(日本時間24時)での実需フローが通常より活発になる可能性があります。特に明日30日にかけては、機関投資家によるリバランス(資産の再配分)の動きが強まり、為替レートが通常より大きく変動するリスクがあります。ポジション管理には十分ご注意ください。
1. 分析対象
- 通貨ペア: XAUUSD, USDJPY, GBPUSD, AUDJPY, EURUSD
- 株価指数: NASDAQ, Nikkei225, DAX
- コモディティ: USOIL (WTI原油)
- 暗号資産: BTCUSD
- 対象期間: 2025年09月28日(日) 東京時間午前6時 – 2025年09月29日(月) 東京時間午前6時
2. 昨日の市場サマリー(欧州・米国市場)
先週末の海外市場は、米国のインフレ指標が市場予想と一致したことを受け、過度な金融引き締め懸念が後退し、株式市場を中心に買い戻しが入る展開となりました。FRB(米連邦準備制度理事会)が最重要視するインフレ指標である個人消費支出(PCE)デフレーターが、ほぼ予想通りの結果となったことで、市場に安心感が広がりました。しかし、FRB高官からは依然として慎重な発言も聞かれ、週明けのアジア市場は落ち着いたスタートとなりそうです。
a. 主要経済指標の結果
国 | 指標名 | 結果 | 市場予想 | 影響 |
---|---|---|---|---|
🇺🇸 | 個人消費支出(PCE)価格指数 (前年同月比/8月) | 2.7% | 2.7% | 予想通りで市場に安心感。ドルは一旦売られるも限定的。 |
🇺🇸 | コアPCE価格指数 (前年同月比/8月) | 2.9% | 2.9% | FRBが重視する指標が予想と一致。利下げ期待を維持させ、株買い要因に。 |
🇺🇸 | 個人消費支出(PCE)価格指数 (前月比/8月) | 0.3% | 0.3% | 予想通り。 |
🇺🇸 | コアPCE価格指数 (前月比/8月) | 0.2% | 0.2% | 予想通り。 |
b. 要人発言・金融政策
- FRB(米連邦準備制度理事会): リッチモンド連銀のバーキン総裁が講演し、「現時点でいかなるインフレ予測にもあまり自信がない」と発言。また、「インフレリスクは依然として高いが、雇用の下振れリスクも高まっている」と述べ、FRBがインフレ抑制と雇用の安定という2つの目標(デュアルマンデート)のバランスを取る難しい局面にいるとの認識を示しました。これは、今後の金融政策決定において、よりデータ重視の姿勢を強めることを示唆しており、市場の様子見ムードにつながる可能性があります。
- ECB(欧州中央銀行): 特筆すべき発言はありませんでした。
- BOE(イングランド銀行): 特筆すべき発言はありませんでした。
- 日銀: 特筆すべき発言はありませんでした。
c. 地政学リスク・その他特記事項
- 特になし: 先週末は新たな地政学リスクの台頭は見られず、市場の関心は経済指標と金融政策に集中しました。
3. 各通貨ペア・商品の分析と本日の注目点
XAUUSD (ゴールド)
- 昨日の値動き: PCEデフレーター発表後、米金利が安定したことを受けて底堅く推移。しかし、ドルの急落には至らなかったため上値も重く、1オンス$3,760近辺でのクローズとなりました。
- 本日の注目点: 引き続き米金利の動向が焦点となります。アジア時間は目立った材料に乏しく、方向感の出にくい展開が予想されます。月末のロンドンフィキシングに向けたフローには注意が必要です。
USDJPY (ドル円)
- 昨日の値動き: PCEデフレーターが予想通りだったことで、過度なドル買いが後退。一時的に売られる場面もありましたが、米長期金利が底堅く推移したため下値は限定的で、149円台半ばで取引を終えました。
- 本日の注目点: 東京時間は実需のフローが中心となり、小動きが予想されます。今週後半に発表される米国のISM製造業・非製造業景況指数を前に、積極的な取引は手控えられそうです。149円台を中心としたレンジ相場を想定します。
GBPUSD (ポンドドル)
- 昨日の値動き: ドルがやや弱含んだ流れに沿って堅調に推移し、1.3400台を回復しました。
- 本日の注目点: 英国からの材料は乏しく、ユーロやドルの動きに連動する展開となりそうです。ユーロ圏の経済指標であるドイツIFO景況感指数がユーロ相場に影響を与えれば、ポンドもその影響を受ける可能性があります。
AUDJPY (豪ドル円)
- 昨日の値動き: 米国株の上昇を好感したリスクオンの円売りと、豪ドルの買い戻しにより、97円台後半で堅調に推移しました。
- 本日の注目点: 本日はブロックRBA(オーストラリア準備銀行)総裁の講演が予定されており、その内容に注目が集まります。インフレに対してタカ派的な発言が出れば豪ドル買い、ハト派的なら豪ドル売りの材料となります。
EURUSD (ユーロドル)
- 昨日の値動き: 米PCEの結果を受けてドルが小幅に売られたため、1.1700台を回復しました。
- 本日の注目点: 本日発表されるドイツのIFO企業景況感指数が最大の注目材料です。ユーロ圏最大の経済大国であるドイツの景況感を示す重要な指標であり、結果が市場予想から乖離すれば、ユーロ相場の変動要因となります。
NASDAQ (ナスダック総合指数)
- 昨日の値動き: インフレ懸念の後退から買い戻しが優勢となり、前日比プラス圏で終了(終値:約22,482ポイント)。3日間の下落に終止符を打ちました。
- 本日の注目点: 米国市場のポジティブな流れを引き継ぎ、本日の時間外取引も底堅く推移することが期待されます。
Nikkei225 (日経平均)
- 昨日の値動き: (先週末の米国市場を受けて)
- 本日の注目点: 先週末の米国株高を好感し、買い先行で始まると予想されます。心理的節目の45,500円を上抜け、月末に向けて上昇基調を維持できるか注目です。
DAX (ドイツ株価指数)
- 昨日の値動き: 米国市場と同様に、インフレ懸念の後退を受けて上昇しました(終値:約23,739ポイント)。
- 本日の注目点: 本日発表されるIFO企業景況感指数の結果が、今後のドイツ経済の先行きを示すものとして注目されます。強い結果となればDAXをさらに押し上げる可能性があります。
BTCUSD (ビットコイン)
- 昨日の値動き: 株式市場のリスクオンムードに連れ高となり、112,000ドル台を回復しました。
- 本日の注目点: 金融市場全体のリスクセンチメントに沿った動きが続きそうです。目先は115,000ドルのレジスタンスを試す展開となるか注目されます。
USOIL (WTI原油)
- 昨日の値動き: 世界経済のソフトランディング期待が根強いものの、ドル安が一服したことで上値は重く、1バレル$65台前半でのもみ合いとなりました。
- 本日の注目点: 大きな材料はなく、株価やドルの動きをにらみながらの展開となりそうです。
4. 総括・本日の市場センチメント
- 全体的なリスクセンチメント: 中立~ややリスクオン
先週末の米PCEデフレーターが無難に通過したことで、市場の過度な警戒感は和らぎました。ただし、FRB高官の慎重な発言や、月末を控えていることから、積極的にリスクを取る動きは限定的と見られます。週明けは落ち着いたスタートが予想されます。 - 本日の戦略のヒント:
アジア時間はRBA総裁講演とドイツIFO景況感指数に注目。豪ドルとユーロ関連通貨ペアで短期的な値動きが出る可能性があります。それ以外の通貨ペアは、今週後半の重要指標を前に大きなトレンドは出にくく、レンジ内での取引を意識するのが賢明でしょう。また、月末のロンドンフィキシングに向けた不規則な値動きには引き続き注意が必要です。