FXデイリー分析レポート [2025年09月17日]
超重要イベント:米FOMC政策金利発表
本日より2日間の日程で米連邦公開市場委員会(FOMC)が開催されます。政策金利の発表は日本時間18日(木)の午前3時、その30分後にはパウエル議長の記者会見が予定されています。
市場は既に25bpの利下げを織り込んでいますが、焦点は同時に発表される経済見通しや政策金利見通し(ドットプロット)です。今後の利下げペースに対してタカ派的な姿勢が示されるリスクも警戒されており、結果発表まで市場は様子見ムードが強まる見込みです。
1. 分析対象
- 通貨ペア: XAUUSD, USDJPY, GBPUSD, AUDJPY, EURUSD
- 株価指数: NASDAQ, Nikkei225, DAX
- コモディティ: USOIL (WTI原油)
- 暗号資産: BTCUSD
- 対象期間: 2025年09月16日(火) 東京時間午前6時 – 2025年09月17日(水) 東京時間午前6時
2. 昨日の市場サマリー(欧州・米国市場)
昨日の海外市場は、日本時間明朝に結果が公表される米連邦公開市場委員会(FOMC)を前に、様子見ムードの強い展開となりました。米国で発表された8月の小売売上高は市場予想を上回る力強い結果となり、米経済の底堅さを示しました。しかし、市場は既に今会合での25bp利下げを確実視しており、ドル買いの反応は限定的。むしろ材料出尽くし感からドルは主要通貨に対して下落しました。一方、米国株式市場は堅調な消費と利下げ期待を背景に、NASDAQ総合指数が史上最高値を更新するなど、リスクオンの流れが継続しました。
a. 主要経済指標の結果
国 | 指標名 | 結果 | 市場予想 | 影響 |
---|---|---|---|---|
🇺🇸 | 小売売上高 (8月 前月比) | 予想を上回る | 0.2% | 米経済の底堅さを示したが、FOMCを前にドル買いの反応は限定的。 |
🇩🇪 | ZEW景況感指数 (9月) | 悪化 | 21.0 | 予想を下回り、ドイツ経済の先行き不透明感がユーロの上値を抑制。 |
🇨🇦 | 消費者物価指数 (8月 前年比) | 予想通り | 2.0% | 予想通りの結果で、カナダドルの反応は限定的。 |
🇺🇸 | 鉱工業生産指数 (8月 前月比) | 予想を下回る | 0.0% | 弱い結果も、小売売上高とFOMCへの注目が高く、市場への影響は軽微。 |
b. 要人発言・金融政策
- FRB(米連邦準備制度理事会): FOMC前のブラックアウト期間に入っており、当局者からの発言はありませんでした。市場の焦点は、日本時間18日午前3時の政策金利発表と、その後のパウエル議長の記者会見で示される今後の利下げペースに関するヒントに完全に移っています。
c. 地政学リスク・その他特記事項
- FOMCへの最大級の警戒感: 本日から2日間の日程でFOMCが開催されます。利下げはほぼ確実視されているものの、同時に公表される経済見通し(SEP)やドットプロット(政策金利見通し)で、FRBが今後の利下げに慎重な姿勢(タカ派的)を示すのではないかとの警戒感も根強く、結果発表までは神経質な展開が予想されます。
3. 各通貨ペア・商品の分析と本日の注目点
USDJPY (ドル円)
- 昨日の値動き: 強い米小売売上高にもかかわらず、FOMC前のポジション調整とみられるドル売りに押され、147円台から146円台半ばへと下落しました。
- 本日の注目点: FOMCの結果発表までは方向感の出にくい展開が予想されます。アジア時間は、日経平均や米長期金利の動向をにらみながら、146円台を中心としたレンジ相場となる可能性があります。
XAUUSD (ゴールド)
- 昨日の値動き: 米長期金利は小幅に上昇したものの、ドルが下落したことで相殺され、1オンス$2,330ドル台で底堅く推移しました。
- 本日の注目点: FOMCが市場の想定よりもハト派的(追加利下げに前向き)な姿勢を示せば、金利のつかないゴールドにとっては強い買い材料となります。逆にタカ派的な内容となれば、ドル高・金利上昇を通じて下落圧力となるため、結果を見極めるまではポジションを傾けにくい状況です。
NASDAQ (ナスダック総合指数)
- 昨日の値動き: 堅調な米消費とFRBの利下げ期待を背景に買いが優勢となり、連日で史上最高値を更新して引けました。
- 本日の注目点: FOMCの結果次第。ハト派的なら上昇トレンド継続、タカ派的なら利益確定売りに押される可能性があります。パウエル議長の会見での景気認識にも注目が集まります。
Nikkei225 (日経平均)
- 昨日の値動き: 米株高の流れを受け、小幅に上昇。
- 本日の注目点: 米国市場の好調な流れを引き継ぎ、買い先行で始まる可能性があります。ただし、FOMCの結果を見たいとする様子見ムードから、上値では利益確定売りも出やすく、上げ幅は限定的となりそうです。
EURUSD (ユーロドル)
- 昨日の値動き: ドル安の流れに乗り、1.09台前半から半ばへと上昇しました。
- 本日の注目点: 欧州時間に発表されるユーロ圏消費者物価指数(HICP)確報値に注目ですが、市場の関心はFOMCに集中しており、影響は限定的かもしれません。ドル相場の動向が引き続き鍵となります。
その他 (GBPUSD, AUDJPY, DAX, BTCUSD, USOIL)
- GBPUSD: 本日発表の英国消費者物価指数(CPI)が最大の焦点です。高いインフレ率が示されれば、BOEの利下げ観測が後退しポンド買いにつながる可能性があります。
- AUDJPY: 米株高を支えに豪ドルは底堅いものの、ドル円の下落が重しとなり、方向感に欠ける展開。
- DAX: 米株高は支援材料ですが、ドイツのZEW景況感指数の悪化が重しとなり、FOMC前は上値の重い展開が予想されます。
- BTCUSD: 米株市場のリスクオンムードを受け、72,000ドル台を回復。FOMCの結果がハト派的なら、さらなる上昇も期待されます。
- USOIL (WTI原油): 米国の堅調な消費指標を受けて需要期待が高まり、1バレル$64ドル台まで上昇しました。
4. 総括・本日の市場センチメント
- 全体的なリスクセンチメント: 中立(FOMC待ち)
アジア時間は、基本的にFOMC待ちの様子見相場となるでしょう。欧州時間に発表される英CPIの結果を受けてポンドが大きく動く可能性には注意が必要です。 - 本日の戦略のヒント:
メインイベントであるFOMC(日本時間18日早朝)を通過するまでは、大きなポジションを持つのはリスクが高いと考えられます。短期的な逆張りや、イベント後のトレンドフォローに備えるのが賢明かもしれません。