2025年9月30日のファンダ分析

アジア時間トレーダー向け日刊ファンダメンタル分析

FXデイリー分析レポート [2025年09月30日]

月末・ゴトー日(五十日)の特殊フローに要警戒

本日9月30日は、月末の最終営業日であると同時に、ゴトー日(五十日)にもあたります。東京時間午前10時にかけての仲値決めに向けては、本邦実需筋のドル買い需要が強まりやすいアノマリーがあり、ドル円の下値を支える可能性があります。

また、ロンドン時間午後4時(日本時間午前0時)にかけ、月末の需給が集中する「ロンドン・フィキシング(ロンフィク)」が控えています。通常よりも値動きが荒くなる可能性があるため、ポジション管理に注意が必要です。

1. 分析対象

  • 通貨ペア: XAUUSD, USDJPY, GBPUSD, AUDJPY, EURUSD
  • 株価指数: NASDAQ, Nikkei225, DAX
  • 暗号資産: BTCUSD, ETHUSD, SOLUSD
  • コモディティ: USOIL, COFFEE, COCOA, SUGAR
  • 対象期間: 2025年09月29日(月) 東京時間午前6時 – 2025年09月30日(火) 東京時間午前6時

2. 昨日の市場サマリー(欧州・米国市場)

週明けの海外市場は、米国の主要経済指標の発表がなく、比較的静かな立ち上がりとなりました。しかし、金(ゴールド)が急騰し過去最高値を更新するなど、個別での力強い動きも見られました。株式市場は堅調に推移し、リスクオンムードが優勢となりました。

a. 主要経済指標の結果

昨日は米国で市場を大きく動かす指標の発表はありませんでした。欧州では以下の指標が発表されています。

指標名 結果 市場予想 影響
🇪🇸 消費者物価指数(HICP) (前年比) (9月速報値) 3.0% 3.0% 予想通りで市場への影響は限定的。
🇬🇧 BOE消費者信用残高 (8月) £16.92億 £16.0億 予想を若干上回り、ポンドの買い要因となるも影響は軽微。
🇬🇧 住宅ローン承認件数 (8月) 6.468万件 6.45万件 ほぼ予想通りで影響は限定的。

b. 要人発言・金融政策

  • FRB(米連邦準備制度理事会): 週明けで主要な発言はありませんでした。市場は引き続き、FRBの利下げサイクルが近いとの見方を維持しています。
  • ECB(欧州中央銀行): 複数のECB当局者から発言がありましたが、市場の金利見通しを大きく変える内容ではありませんでした。
  • BOE(イングランド銀行): ラムズデン副総裁が「労働市場は弱まり、賃金の伸びは正常化している」と発言し、追加利下げの可能性を示唆しました。これはポンドの上値を重くする要因となりました。

c. 地政学リスク・その他特記事項

  • イラクのクルディスタン地域が原油輸出を再開したとの報道を受け、供給増加懸念から原油価格が下落しました。

3. 各通貨ペア・商品の分析と本日の注目点

XAUUSD (ゴールド)

  • 昨日の値動き: ドルがやや軟調に推移したことや、先行き不透明感から安全資産としての買いが集まり、一時1オンス$3,830を超えるなど急騰し、過去最高値を更新しました。
  • 本日の注目点: 高値圏での推移が予想されます。月末のロンドンフィキシングでの実需フローが価格をさらに押し上げるか、あるいは利益確定売りに押されるか注目されます。テクニカルには過熱感もあり、ボラティリティの高い展開に注意が必要です。

USDJPY (ドル円)

  • 昨日の値動き: 米長期金利が小幅に低下したことを受け、149円台前半から148円台半ばまで下落しました。
  • 本日の注目点: 東京仲値にかけての実需のドル買いが相場を下支えするか注目されます。148円台を維持できるかが焦点ですが、月末フロー次第では大きく動く可能性も。本日発表される日銀の企業短期経済観測調査(短観)の結果にも注意が必要です。

GBPUSD (ポンドドル)

  • 昨日の値動き: BOE副総裁のハト派的な発言を受けて上値の重い展開となり、1.34台前半で方向感に欠ける動きとなりました。
  • 本日の注目点: 本日発表される英第2四半期GDP確定値が予想からかい離するかどうかが注目されます。月末のドル需要が強まれば、下押し圧力がかかる可能性があります。

AUDJPY (豪ドル円)

  • 昨日の値動き: 米株高を背景としたリスクオンムードに支えられ、97円台後半で底堅く推移しました。
  • 本日の注目点: 本日はオーストラリアの小売売上高の発表が予定されており、結果が豪ドルの方向性を左右しそうです。中国市場が国慶節の連休を控えているため、アジア時間では様子見ムードが広がる可能性もあります。

EURUSD (ユーロドル)

  • 昨日の値動き: ドル安の流れに乗り、一時1.17台を回復しましたが、その後は伸び悩み、方向感に欠ける展開でした。
  • 本日の注目点: 独・仏・ユーロ圏の消費者物価指数の速報値が発表されます。予想を上回る結果となれば、ECBの利下げ期待が後退し、ユーロ買いにつながる可能性があります。

NASDAQ (ナスダック)

  • 昨日の値動き: 金利低下を好感し、ハイテク株を中心に買いが優勢となり、プラス圏で引けました。
  • 本日の注目点: 米株高の流れを引き継ぎ、本日も堅調な地合いが続くか注目されます。月末のリバランス(資産配分の調整)に伴う売りが出る可能性も念頭に置く必要があります。

Nikkei225 (日経平均)

  • 昨日の値動き: 昨晩の米国株高を受けて、本日は堅調なスタートが予想されます。
  • 本日の注目点: 寄り付き後は、日銀短観の結果と為替の動向を睨みながらの展開となりそうです。月末要因で国内機関投資家の動きが活発化する可能性もあります。

DAX (ドイツ株価指数)

  • 昨日の値動き: 小幅高で引けました。ユーロ圏の景気先行き不透明感が上値を抑えました。
  • 本日の注目点: 本日発表されるドイツの雇用統計とインフレ指標が最大の注目材料です。弱い結果となれば、景気後退懸念からDAXは下落する可能性があります。

BTCUSD, ETHUSD, SOLUSD (暗号資産)

  • 昨日の値動き: リスクオンムードの中、暗号資産市場は全面高となりました。BTCは$114,000台、ETHは$4,200台まで上昇しました。SOLも$190前後で堅調に推移しています。
  • 本日の注目点: 株式市場との相関性を保ちつつ、底堅い展開が続くか。月末フローが暗号資産市場にも影響を与えるか注視が必要です。

USOIL (WTI原油)

  • 昨日の値動き: イラクのクルディスタン地域からの輸出再開を受け、供給増が見込まれることから1バレル$64台まで下落しました。
  • 本日の注目点: 供給過剰感が意識される一方、世界経済の底堅さから需要の期待も根強く、$64台での攻防が予想されます。

COFFEE, COCOA, SUGAR (ソフトコモディティ)

  • COFFEE (コーヒー): 昨日は小動きでした。主要生産国であるブラジルやベトナムの天候が引き続き材料視されます。
  • COCOA (ココア): 供給過剰の見通しから上値の重い展開が続いています。西アフリカの天候改善が価格を押し下げています。
  • SUGAR (砂糖): ドル安を背景に買い戻しが入り、小幅に反発しました。しかし、需給緩和の見方から大きな上昇には至っていません。

4. 総括・本日の市場センチメント

  • 全体的なリスクセンチメント: リスクオン
    昨晩の米国株高を受け、市場のセンチメントは良好です。ただし、月末・四半期末特有のフローが発生しやすく、特にロンドンフィキシングにかけてはボラティリティが高まる可能性があるため注意が必要です。
  • 本日の戦略のヒント:
    東京時間は仲値に向けたドル円の動向に注目。欧州時間からは、独・ユーロ圏のインフレ指標の結果次第でユーロが主役となる可能性があります。月末要因で通常とは異なる値動きをするリスクを常に念頭に置き、短期的なトレンドフォローか、重要イベントを通過するまで様子見とするのが賢明でしょう。