アジア時間トレーダー向け日刊ファンダメンタル分析
[2025年8月28日]
過去24時間の市場動向を分析し、アジア時間のトレーディング戦略のヒントを提供します。
1. 分析対象
- 通貨ペア: XAUUSD, USDJPY, GBPUSD, AUDJPY, EURUSD
- 株価指数: NASDAQ, Nikkei225, DAX
- 商品: USOIL (WTI原油)
- 暗号資産: BTCUSD
2. 昨日の市場サマリー(欧州・米国市場)
a. 主要経済指標の結果
昨晩の市場では、米国の消費者マインドを示す指標が発表されましたが、市場予想を下回る結果となり、景気の先行きに対する慎重な見方が広がりました。
国 | 指標名 | 結果 | 市場予想 | 影響 |
---|---|---|---|---|
🇺🇸 | 8月CB消費者信頼感指数 | 97.4 | 99.0 | 予想を下回り、ドル売り要因 |
b. 要人発言・金融政策
- FRB(米連邦準備制度理事会): 金融政策に直接影響を与える当局者の発言は特にありませんでした。
- ECB(欧州中央銀行): 目立った発言はありませんでした。
- BOE(イングランド銀行): 目立った発言はありませんでした。
- 日銀: 目立った発言はありませんでした。
c. 地政学リスク・その他特記事項
- FRBの独立性に懸念: トランプ前大統領がSNS上でクックFRB理事の解任を発表したと伝わりました。これを受け、FRBの政治的中立性に対する懸念が浮上し、リスク回避の動きから安全資産とされる金(ゴールド)が買われる一因となりました。
3. 各通貨ペア・商品の分析と本日の注目点
XAUUSD (ゴールド)
- 昨日の値動き: FRB理事解任を巡る政治的混乱を背景に、安全資産として買われ、$3340台まで上昇しました。米ドルが伸び悩んだことも追い風となりました。
- 本日の注目点: 本日発表される米国の第2四半期GDP改定値が市場予想からかい離する場合、米金利の変動を通じてゴールドの価格に影響を与える可能性があります。引き続き地政学リスクや政治的なニュースにも注意が必要です。
USDJPY (ドル/円)
- 昨日の値動き: 月末のドル需要を見込んだ買いで一時148円台に乗せましたが、米消費者信頼感指数の悪化を受けて失速。その後は147円台中盤でのもみ合いとなりました。
- 本日の注目点: 東京時間午前9時55分の仲値に向けた実需の動向が注目されますが、本日はゴトー日(5・10日)ではないため、影響は限定的かもしれません。夜の米GDP改定値の発表が最大の注目材料で、強い結果が出ればドル買い、弱い結果ならドル売りに振れる可能性があります。
GBPUSD (ポンド/ドル)
- 昨日の値動き: ドルが全般的に上値の重い展開となったことを受け、相対的に底堅く推移し、1.3500近辺で取引されました。
- 本日の注目点: 欧州時間に特段の材料がない中、米GDPの結果を受けたドル相場の動きに連動する展開が予想されます。また、月末最終日が近づく中、ロンドンフィキシング(日本時間24時もしくは25時)にかけて実需のポンド買い/売りが交錯し、値動きが荒くなる可能性に注意が必要です。
AUDJPY (豪ドル/円)
- 昨日の値動き: リスクセンチメントに左右されやすい通貨ペアですが、昨日は米株が小幅高、ドル円が方向感を失う中で、95円台後半での狭いレンジでの動きに終始しました。
- 本日の注目点: アジア時間は日経平均や中国株の動向をにらみながらの展開となりそうです。夜の米GDP発表までは大きな動きは出にくい可能性があります。
EURUSD (ユーロ/ドル)
- 昨日の値動き: 米消費者信頼感指数の悪化によるドル売りを受け、1.16台半ばまで上昇しました。欧州からの目立った材料はなく、ドル主導の展開でした。
- 本日の注目点: ポンドドル同様、米GDP発表までは様子見ムードが続きそうです。月末のロンドンフィキシングでは、ユーロも実需のフローで大きく動く可能性があるため、ポジション管理に注意が必要です。
NASDAQ (ナスダック総合指数)
- 昨日の値動き: 小幅ながら続伸。今夜に控える半導体大手エヌビディアの決算発表への期待感と、米経済指標の弱さとの間で綱引き状態となりました。
- 本日の注目点: なんと言ってもエヌビディアの決算発表が最大の注目材料です。結果が市場予想を上回るか下回るかで、ナスダック全体、ひいてはリスクセンチメント全体に大きな影響を与える可能性があります。
Nikkei225 (日経平均株価)
- 昨日の値動き: 前日の米国株高の流れを引き継ぎ反発しました。半導体関連株への期待感が相場を支えました。
- 本日の注目点: 米ナスダックが時間外でどう動くか、特にエヌビディア決算への期待感が続くかが鍵となります。為替市場でのドル円の動向も輸出関連株の株価を左右します。
DAX (ドイツ株価指数)
- 昨日の値動き: 米国の経済指標の弱さや、域内の景気先行き懸念から反落しました。
- 本日の注目点: ユーロ圏の明確な材料に欠けるため、今夜の米GDPや米国株の動向を横目に見た展開が予想されます。
BTCUSD (ビットコイン)
- 昨日の値動き: 株式市場とは連動せず、上値の重い展開となりました。11万ドル台前半でもみ合っています。
- 本日の注目点: マクロ経済指標(米GDP)への反応は限定的かもしれませんが、ナスダックなどリスクアセット市場全体のセンチメントが悪化する場面では、連れ安となる可能性も考えられます。
USOIL (WTI原油)
- 昨日の値動き: 利益確定売りに押されて反落。1バレル=$64を割り込みました。
- 本日の注目点: 米国の景気動向を示すGDPは、将来のエネルギー需要を占う上で重要です。弱い結果となれば、需要減退懸念からさらに下値を試す可能性があります。
4. 総括・本日の市場センチメント
全体的なリスクセンチメント: 中立(様子見)
今夜に米国の第2四半期GDP改定値とエヌビディアの決算という二大イベントを控えているため、アジア時間から欧州時間にかけては、積極的な取引が手控えられ、様子見ムードが強まる可能性があります。
本日の戦略のヒント:
- 重要指標待ち: 米GDP発表までは方向感の出にくい展開を想定し、短期的なレンジ取引に徹するか、ポジションを傾けずに発表を待つのが賢明です。
- 月末アノマリーに警戒: 月末が迫っており、特に日本時間深夜のロンドンフィキシングの時間帯は、実需のフローによって為替が急変動するリスクがあります。この時間帯にポジションを持ち越す際は、ストップロスを徹底するなどリスク管理を強化してください。
- ゴトー日ではない: 本日は28日であり、仲値に向けた本邦勢のドル買いアノマリーは意識されにくい日です。
免責事項
本レポートは、情報提供のみを目的としており、投資勧誘を目的としたものではありません。投資に関する決定は、ご自身の判断と責任において行ってください。