来週初めは日本市場がお休み
普段の週末以上にポジション解消がでてくるかもしれないのも注意ね
FXデイリー分析レポート [2025年09月12日]
昨日の重要イベントを消化し、週末へ
昨夜は米消費者物価指数(CPI)とECB政策金利が発表され、市場は大きく変動しました。市場は「インフレは熱すぎず、利下げ期待は継続」と判断し、リスクオンムードが優勢となりました。本日は週末を前にしたポジション調整の動きに注意が必要です。
1. 分析対象
- 通貨ペア: XAUUSD, USDJPY, GBPUSD, AUDJPY, EURUSD
- 株価指数: NASDAQ, Nikkei225, DAX
- コモディティ: USOIL (WTI原油)
- 暗号資産: BTCUSD
- 対象期間: 2025年09月11日(木) 東京時間午前6時 – 2025年09月12日(金) 東京時間午前6時
2. 昨日の市場サマリー(欧州・米国市場)
昨日の市場は、2つの重要イベントを無事通過しました。米CPIは市場予想とほぼ一致し、インフレの急加速への懸念を和らげました。これによりFRBの利下げ期待が維持され、米国株は史上最高値を更新。失業保険申請数が予想をかなり上回る数字が出たのは気になるところだったが既に市場の「わかってる感」があるのか一時的な動きにとどまるか。一方、ECBは予想通り利下げを実施したものの、今後の追加利下げには慎重な姿勢を示唆。この結果、為替市場ではドルが売られ、ユーロは底堅く推移しました。
a. 主要経済指標の結果
国 | 指標名 | 結果 | 市場予想 | 影響 |
---|---|---|---|---|
🇺🇸 | 消費者物価指数 (CPI, 8月) [前年比] | +2.9% | +2.9% | ほぼ予想通りの結果。インフレが制御不能な状態ではないと受け止められ、市場は安心感からリスクオンに傾いた。ドル売り・株買い要因。 |
🇺🇸 | コアCPI (除食品・エネルギー) [前年比] | +3.1% | +3.1% |
b. 要人発言・金融政策
- ECB(欧州中央銀行): 予想通り政策金利を0.25%引き下げました。しかし、ラガルド総裁は記者会見で「特定の金利パスを事前に約束しない」と述べ、今後の利下げはデータ次第であると強調。利下げサイクルの開始を宣言するハト派的な内容とはならず、ユーロ相場を下支えしました。
- FRB(米連邦準備制度理事会): ブラックアウト期間中のため発言はありません。市場は、今回のCPI結果を受けても来週のFOMCでの利下げは確実と見ています。
c. 地政学リスク・その他特記事項
- 日本の政局: 自民党総裁選に関する報道は続いていますが、昨日の海外市場の大きなテーマにはならず、影響は限定的でした。
3. 各通貨ペア・商品の分析と本日の注目点
XAUUSD (ゴールド)
- 昨日の値動き: 米CPI発表後にドル安・金利低下を受けて一時上昇しましたが、米国株が大幅に上昇(リスクオン)したことで、安全資産としての魅力が相対的に低下。利益確定売りに押され、1オンス$3,635前後で引けました。
- 本日の注目点: 記録的な高値圏にあるため、週末を前にしたポジション調整の売りに注意が必要です。米金利が安定している限り底堅い展開が予想されますが、上値追いの勢いは一服した可能性があります。
USDJPY (ドル円)
- 昨日の値動き: 米CPIが強い内容ではなかったことを受け、米長期金利が低下。日米金利差縮小の思惑からドル売り・円買いが進み、147円台前半から一時146円台に下落しました。
- 本日の注目点: 米国金利の動向を引き続き注視する必要があります。本日は大きな指標がないため、昨日の流れを引き継ぎ上値の重い展開が予想されますが、週末前のショートカバー(買い戻し)にも警戒が必要です。
Nikkei225 (日経平均)
- 昨日の値動き: – (日本市場開始前)
- 本日の注目点: 昨日の米国市場でダウ平均やS&P500が史上最高値を更新したことを好感し、買い先行で始まることが予想されます。44,000円の大台を試す展開となるか注目されます。
EURUSD (ユーロドル)
- 昨日の値動き: ECBの利下げにもかかわらず、今後の追加利下げに慎重な姿勢が示されたことや、ドル安が進行したことから、1.18台を試すなど底堅く推移しました。
- 本日の注目点: 本日はユーロ圏の鉱工業生産が発表されます。欧州経済のファンダメンタルズを確認する上で注目されますが、基本的には昨日のイベントを消化する動きが中心となりそうです。
NASDAQ (ナスダック)
- 昨日の値動き: 米金利上昇への懸念が後退したことを好感し、続伸して史上最高値を更新しました。終値は前日比+0.7%でした。
- 本日の注目点: 加熱感も意識される中、週末を前に利益確定売りが出やすい地合いです。夜に発表される米ミシガン大学消費者信頼感指数が、個人消費の先行きを示す指標として注目されます。
その他 (GBPUSD, AUDJPY, DAX, BTCUSD, USOIL)
- GBPUSD: ドル安の流れに乗り上昇。本日の英鉱工業生産・貿易収支の結果がポンドの個別の材料となります。
- AUDJPY: 米株高のリスクオンムードと円高が綱引き状態。株価の動向に敏感に反応しそうです。
- DAX (ドイツ株価指数): ECBの決定を受けて上昇。米国株高の流れを引き継ぎ、本日も堅調な地合いが続くか注目されます。
- BTCUSD (ビットコイン): リスクオンムードを背景に75,000ドルを試すなど、堅調な地合いを維持しています。
- USOIL (WTI原油): 世界経済のソフトランディング期待から買いが優勢となり、上昇しました。
4. 総括・本日の市場センチメント
- 全体的なリスクセンチメント: リスクオン
市場は昨日の重要イベントを「理想的な結果」と捉え、楽観ムードが広がっています。FRBの利下げ期待が、引き続き株式市場をはじめとするリスク資産の支えとなるでしょう。 - 本日の戦略のヒint:
基本的にはリスクオンの流れに沿った戦略が有効と考えられます。ただし、金曜日であるため、週末のポジション調整による利益確定の動きには注意が必要です。特に高値圏にある株式指数や、直近で大きく買われたユーロなどは、短期的な調整が入る可能性も考慮しておきましょう。