依然としてマーケットは混沌状態
FXデイリー分析レポート [2025年10月01日]
米政府機関閉鎖、月初アノマリー、重要指標発表が重なる警戒日
本日10月1日より、米国で新会計年度が開始されます。しかし、つなぎ予算が成立しなかったため、一部政府機関が閉鎖(シャットダウン)される事態となりました。経済活動への影響は閉鎖期間の長さに左右されますが、市場の不透明感を著しく高めるリスクオフ要因であり、今後の動向に関するヘッドラインには最大限の注意が必要です。
また、本日は月初め・水曜日・ゴトー日(五十日)が重なります。
- 東京仲値 (日本時間 9:55頃): 本日はゴトー日にあたり、国内企業の決済に伴うドル需要(ドル買い)が通常より強まる傾向があります。
- ロンドンフィキシング (日本時間 25:00頃): 月初にあたり、欧州の機関投資家による実需のフローが集中し、特にロンドン時間の夕方にかけて為替レートが大きく変動する可能性があります。
さらに、本日は米国のADP雇用統計やISM製造業景気指数といった重要経済指標の発表も控えており、非常にボラティリティの高い一日となることが予想されます。
1. 分析対象
- 通貨ペア: XAUUSD, USDJPY, GBPUSD, AUDJPY, EURUSD
- 株価指数: NASDAQ, Nikkei225, DAX
- 暗号資産: BTCUSD, ETHUSD, SOLUSD
- コモディティ: USOIL, COFFEE, COCOA, SUGAR
- 対象期間: 2025年09月30日(火) 東京時間午前6時 – 2025年10月01日(水) 東京時間午前6時
2. 昨日の市場サマリー(欧州・米国市場)
昨日の海外市場は、米国の政府機関閉鎖が目前に迫る中、終始リスク回避ムードが支配的となりました。月末のポジション調整も相まって相場は神経質な動きとなりましたが、不透明感を背景に安全資産とされるドルが買われる展開が優勢でした。米国株は主要3指数ともに下落し、投資家心理の悪化を示しました。
a. 主要経済指標の結果
国 | 指標名 | 結果 | 市場予想 | 影響 |
---|---|---|---|---|
🇺🇸 | CB消費者信頼感指数 (9月) | 100.2 | 101.0 | 予想を下回り、消費者心理の悪化を示唆。株価の重しとなり、ドル買いを後押し。 |
🇺🇸 | S&Pケース・シラー住宅価格指数 (7月) | 前年比+5.8% | +5.5% | 予想を上回り住宅市場の底堅さを示したが、市場の関心は政府閉鎖問題に集中し、反応は限定的。 |
🇩🇪 | 消費者物価指数(CPI)速報値 (9月) | 前年比+4.3% | +4.5% | 予想を下回り、インフレ鈍化を示唆。ECBの追加利上げ観測を後退させ、ユーロ売り要因に。 |
b. 要人発言・金融政策
- FRB(米連邦準備制度理事会): クリーブランド連銀のメスター総裁が「インフレとの闘いはまだ終わっていない」と述べ、年内追加利上げの可能性を示唆。タカ派的な発言がドルを下支えしました。
- ECB(欧州中央銀行): 複数のECB高官から、追加利上げには慎重な姿勢を示す発言が相次ぎました。ドイツのCPI鈍化も相まって、ユーロの上値を重くしました。
c. 地政学リスク・その他特記事項
- 米政府機関閉鎖の現実化: 昨日の市場の最大のテーマ。閉鎖による経済への悪影響が懸念され、リスク資産(株式、暗号資産)が売られ、安全資産(ドル)が買われる典型的なリスクオフ相場となりました。
3. 各通貨ペア・商品の分析と本日の注目点
USDJPY (ドル円)
- 昨日の値動き: 米政府閉鎖懸念によるリスク回避の円買いと、安全資産としてのドル買いが交錯しましたが、米金利の上昇も支えとなり、148円台前半で底堅く推移しました。
- 本日の注目点: 東京時間は仲値に向けたドル買い需要が相場を支える可能性があります。しかし、米政府閉鎖のニュースフロー次第では、一転してリスク回避の円買いが強まる場面も想定されます。夜の米ADP雇用統計とISM製造業景気指数の結果にも注目です。
XAUUSD (ゴールド)
- 昨日の値動き: ドルが全面高となったことを受け、ドル建てのゴールドは売られ、1オンス$3700台まで下落しました。
- 本日の注目点: 米政府閉鎖という不確実性は「有事の金」としての買いを誘う可能性がありますが、強力なドル高が続く場合は上値が抑えられます。ドル相場とリスクセンチメントの綱引きとなりそうです。直近高値を超えていくのか見どころですが高値圏ですので押し目があるまでは買いづらいか。
EURUSD (ユーロドル)
- 昨日の値動き: ドル全面高と、ドイツのインフレ鈍化を受けたユーロ売りが重なり、1.17を割り込む場面も見られるなど、下落基調が続きました。
- 本日の注目点: ユーロ圏の製造業PMI改定値が発表されますが、市場の関心は米国に向いています。米国の重要指標と政府閉鎖の動向に振らされる展開が続きそうです。
株式指数 (NASDAQ, Nikkei225, DAX)
- 昨日の値動き: NASDAQは政府閉鎖への懸念から反落。欧州株(DAX)も軟調な展開でした。
- 本日の注目点: 東京市場の日経平均は、朝方発表された日銀短観が概ね良好だったものの、米株安と政府閉鎖のニュースを受けて売りが先行しています。本日も米国の動向を睨みながら、神経質な展開が予想されます。
暗号資産 (BTCUSD, ETHUSD, SOLUSD)
- 昨日の値動き: リスクオフムードが強まる中、株式市場と同様に売りが優勢となりました。BTCは$113,000台を維持できず下落しました。
- 本日の注目点: 金融市場全体のリスクセンチメントに連動する展開が続くとみられます。米政府閉鎖問題が長引くとの観測が強まれば、さらなる下落リスクに注意が必要です。その反面デジタルゴールドとしての認知から資産をBTCに移す動きもきたいできるか
その他 (GBPUSD, AUDJPY, USOIL, ソフトコモディティ)
- GBPUSD: ドル高の流れに押され、下落しました。本日発表の製造業PMI改定値に注目です。
- AUDJPY: リスクに敏感な豪ドルと安全資産の円の組み合わせであるため、リスクオフムードの中で下落圧力がかかりやすい状況です。97円台を割り込んでいます。
- USOIL (WTI原油): 政府閉鎖による米国の景気後退懸念が需要減退につながるとの見方から売られ、1バレル$62台まで下落しました。
- COFFEE, COCOA, SUGAR: 世界経済の不透明感が強まる中、需要サイドの弱さが意識され、やや上値の重い展開となっています。
4. 総括・本日の市場センチメント
- 全体的なリスクセンチメント: リスクオフ 米政府機関閉鎖という明確なリスク要因が発生しており、市場心理は大きく後退しています。問題解決の目処が立つまでは、投資家は積極的なリスクテイクを避け、安全資産へ資金を退避させる動きが続くと予想されます。
- 本日の戦略のヒント: 米政府閉鎖に関するニュース速報に常に注意を払う必要があります。要人発言一つで相場が乱高下する可能性があるため、ポジション管理には細心の注意が求められます。東京時間の仲値、欧州時間のロンドンフィキシング、そして夜の米重要指標発表と、一日を通してボラティリティが高まりやすいイベントが続きます。安易な逆張りは避け、市場の大きな流れに沿ったトレードを心がけるか、重要イベントを通過するまで様子見に徹するのが賢明でしょう。